
04 庇
そっと快適さを支えています

読めましたか?そう、「ひさし」です!
建物の壁や窓の上に突き出した、雨や日差しを防ぐための小さな屋根。それが庇です。真夏には直射日光を遮って室内の温度上昇を抑え、雨の日には外壁や窓を濡らさない。家の寿命を延ばし、住む人の快適さも守ってくれる、まさに陰の立役者です。
次に漢字の成り立ちを見てみましょう!

「庇」は形声文字で、屋根を示す「广(まだれ)」と音を表す「比」を組み合わせたもの。もともと「屋根の下で覆って守る」という意味があります。そこから人を危険や困難から守る行為を「庇」の字を使って「かばう」と言うようになりました。
雨を防ぐ庇のように、相手をそっと守る姿を表した言葉です。
昔の日本家屋では、この庇の長さや角度に知恵が込められていました。夏は太陽を遮り、冬は低い角度の光を室内に取り込むように設計。庇の下に縁側があれば、夏は涼しい日陰の居場所に、雨の日は濡れずに外を眺められる空間になります。年々厳しさの増す日本の夏の暑さやエネルギー対策としても、庇の持つ機能性は改めて注目されています。


雨の日に玄関先に庇があれば、入る時も出る時も余裕が生まれます。ゆっくり傘を開け閉めし、落ち着いて鍵を探す。ささやかに見える庇が日々の一瞬にゆとりを生み出してくれます。タイルテラスに庇を設け、室内空間とのゆるやかなつながり感じさせるスタイルはヤマサハウスでも人気です。
玄関に入る時、テラスで過ごす時も、庇は日々の暮らしを少しやさしくしてくれる存在と言えるかもしれません。
参考文献:
・学研小学漢字辞典 改定第6版 2023年
・精選版 日本国語大辞典.小学館.2005年12月5日出版
・デジタル大辞泉.小学館.閲覧日:2025年8月18日
参照日:2025年8月18日
ヤマサハウスのお家にまつわる難読漢字 04 庇
03 襖
柔軟に空間を仕切ります

読めましたか?そう、「ふすま」です!
シーンに合わせて空間を仕切ることができる襖は、日本の住まいの知恵ですね。古くは綿を入れた防寒着のことを「襖(あお)」と呼んでいたそうですが、もともとは衣類を表す漢字が、なぜ建具を指すようになったのでしょうか。
漢字の成り立ちを見てみましょう!

「衣へん」に「奥」で「身体の形を覆い隠す服」という意味を表わしています。平安時代には、寝具を「衾(ふすま)」、また寝所の仕切りを「衾障子(ふすましょうじ)」と呼んでおり、やがて襖の字が当てられるようになったとされているようです。
時代と共に襖の形も変化し、現在のような枠に紙や布を張った建具を指すようになりました。
「固定されない壁」とも言える襖は、強度を保ちながらも軽いことが特徴。取り外しが簡単にできるため、広間へも個室へも早変わりが可能です。
適度な吸音性や断熱性があり、空間を柔軟に変化させられる襖は、日本家屋の合理性と美しさを支えているのです。


近年人気の「ジャパンディスタイル」でも襖は空間の印象付けになるポイント。無地やシンプルな柄の襖を採用すれば、和の雰囲気を保ちつつモダンな空間になります。襖紙を貼り替えて長く使い続けられるサステナブル性も、メリットのひとつです。
ゆとりのある豊かな空間作りに、日本古来の様式も参考にしてみるのはいかがでしょうか。
参考文献:
・学研小学漢字辞典 改定第6版.Gakken.2023年12月
・デジタル大辞泉.小学館.閲覧日:2025年7月21日
・日本大百科全書(ニッポニカ).小学館.2001年4月
・鎌田正・米山寅太郎 著.新漢語林.大修館書店.2011年2月
参照日:2025年7月21日
ヤマサハウスのお家にまつわる難読漢字 03 襖
02 框
空間を美しく縁どります

読めましたか?そう、「かまち」です!
框は、物の「外枠の木」を意味します。戸・障子など建具の「枠木」、床の間・縁側など床面の端を隠すための「化粧横木」を指すことも。日常生活ではなじみがないかも知れませんが、伝統建築や家具づくりの世界ではとても大切な部分なのです。
次に漢字の成り立ちを見てみましょう!

部首に材料である「木」を持ち、右側の「匡(キョウ)」は「囲う・枠組み・正す・修正する」などの意味があるため、これが框のもつ“囲う構造材”としての役割と合致していると考えられます。
つまり框は、「木で空間を囲って形を整える」という意味を含んだ文字であり、漢字の形そのものが用途を語る珍しい漢字なのだそう。
戸・障子などの建具の外枠としては、強度を保ちつつ鏡面を支える役割を果たします。
とくに「框組み構造」という伝統的な技法では、木枠の中に板をはめ込むことで反りに強く美しい建具に仕上がります。構造を支えるだけでなく、空間を美しく縁取る役割もあるのです。


上がり框は、玄関(ソト)と室内(ウチ)を分ける段差に取り付ける横木で、家の顔ともいえる重要な部分。ヤマサハウスでも、斜めやL字型など様々な施工実例がありますよ。素材の選び方や仕上げによって印象が変わるので、こだわりたいものですよね。
空間を引き締め、品格をもたらす框。ぜひ、お家の「縁」にも注目してみてください。
参考文献:
・白川静 著.字通[普及版].平凡社.2014年3月出版
・精選版 日本国語大辞典.小学館.2005年12月5日出版
ヤマサハウスのお家にまつわる難読漢字 02 框
01 梁
横になって家を支えています

読めましたか?そう、「はり」です!
建物の中で天井・屋根・床などを支える横向きの構造材のこと。かつては、物や場所同士をつなぐという意味で橋や渡し板、渡るものを指していたのだとか。
音読みでは「リョウ」と読み、「梁材(りょうざい)」や「梁間(りょうかん)」という言葉もありますよ。

次に漢字の成り立ちを見てみましょう!
梁は形声文字に分類され、部首である「木」と流れる「水」、水の流れをせき止める「石」が組み合わさっています。これが「川に架ける木材の構造物、橋」を表すのだそう。
肥沃な土地で育つ穀物を表す「粱(リョウ)」という漢字と似ており、どちらも暮らしに欠かせないもの、ということで同じ読みになったとされています。
「梁」と「桁(けた)」はどちらも建物の構造を支える水平材ですが、場所や方向によって区別されています。「梁」は建物全体の荷重を受け止めて支え、「桁」は棟木と平行に横わたり主に屋根を支えるもの。
柱と柱を接続する梁を「大梁」、そうでないものを「小梁」、そのほかにも「小屋梁」「火打ち梁」「登り梁」「妻梁」…と、細かな種類があります。


最近のトレンドである「梁見せ天井」は、デザイン性を高め、明るく開放的な空間を演出してくれます。構造体をあえて見せる「梁あらわし」、装飾のための「化粧梁」の2種類があります。
ヤマサハウスでもたくさんのお客様が採用され、木のぬくもりを感じる心地よい暮らしを楽しまれています。照明計画や壁や床とのコーディネートなどと合わせて、ぜひ検討してみてくださいね。
参考文献:
・白川静 著.字通[普及版].平凡社.2014年3月出版
・デジタル大辞泉.小学館.閲覧日:2025年5月16日
ヤマサハウスのお家にまつわる難読漢字 01 梁
「木」になる話シリーズはこちら