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東京大学と共同でヤマサハウスはいったい何を研究していたの?

実は2014年~2015年の2年間、ヤマサハウスは東京大学の研究室と共同である実証実験を行っていました。いったい何を研究していたの?どんな成果が挙がったの?当時、ヤマサハウスでプロジェクトをリードしていた施工技術開発課長の郡山さんに聞いてみました!

この記事に登場する人

郡山 憲司(こおりやま けんじ)
2002年に鹿児島大学から新卒入社。
現在は工務部にて、施工技術開発課、業務統括課、積算課の課長を兼務。入社以来、ヤマサハウスの住宅をアップデートしつづけてきた家づくり大好き人間。

研究機関と企業がタッグを組み、ゼロエネルギー住宅に挑戦。

―東京大学との共同研究ってなんだかすごそうなプロジェクトですが、どういう経緯でスタートしたんでしょうか?

郡山:もともとはNEDOという、持続可能な社会の実現をめざす国立研究開発法人と、OMソーラーという太陽熱利用のパイオニア、そして東京大学が共同で省エネルギー住宅の研究を進めていたんです。「2030年仕様の住宅を作ろう」と。その過程で、北は北海道、南は沖縄まで日本各地の気候条件の異なる5か所の実証住宅で温熱環境の実測を行うことになり、鹿児島の担当企業として、当社に声がかかったんです。

―なんだかよくわからないけど、すごそうですね。

郡山:部屋を暖めたりお湯を沸かしたりという電気やガスが果たす役割を、すべて太陽エネルギーでまかなう。つまり、ゼロエネルギー住宅を作ろうという試みです。

―なるほど。具体的にどんな実証実験をしたんですか?

郡山:実際に住宅を建て、その中で人が暮らしているかのようにある一定の時間になったらタイマーでお風呂のお湯を沸かしたり、空調のオンオフを切り替えながら、温熱環境の変化をリアルタイムで計測し東京大学の研究室に送るんです。データ取得時にエラーが起こったときのトラブルシューティングも私が担当しました。まさか住宅会社でそんな仕事するとは思わなかったですね。

―実際にどんな成果が得られたんですか?

郡山:ソーラーシステムと断熱材、蓄熱材のベストな組み合わせを検討できたこと。そしてその結果を取り入れて実証住宅を建築し、4人家族の暮らす家を想定したかなり精度の高い模擬データを得られたこと。なにより、最終的に従来の住宅と比べて50%を超えるエネルギーの削減を実現することができました。

これまでのヤマサハウスも、未来の自然災害も超えていけ。

―郡山さん自身が、そのプロジェクトで学んだことは何でしたか?

郡山:新しい発見は多かったですよ。何より、大学の研究室って結果を検証するときに絶対に妥協しない。その姿勢は見習いたいと思いました。また、全国5か所の取り組みも見学させてもらったのも有意義でしたね。エリアごとに立ち向かうべき課題が全然違うんです。

―立ち向かうべき課題とは?

郡山:例えば北海道や宮城はやりすぎじゃない?というくらい暖房を使う。オンオフを切り替える方がエネルギー効率が悪いので、基本的につけっ放しなんです。逆に沖縄は「冬って何?」くらいの感覚なので、暑さをいかに省エネルギーで緩和するかが重要。その地域の気候に合う家づくりの大切さを改めて実感させられました。

―ヤマサは以前から鹿児島の気候に合う家、湿気や台風に強い家づくりを進めていますよね?

郡山:そうですね。でも、最近は今までにないくらい想定を超えた自然災害が増えていますよね。今以上に災害に強い家づくりをしていかないと、これまでのやり方は通用しなくなってくる。もちろん今も一般の基準より厳しい自社基準を定めて取り組んでいますが、さらにレベルを上げていく必要があると思っています。

―また新しい商品をつくっていくと?

郡山:そうですね。技術開発の部門は今10人以上のメンバーがいる。その中には入社1年目の若いメンバーが4人もいます。若手の柔軟な発想で、これまでのヤマサハウスを、そして未来の自然災害を超えていってほしいですね。