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災害に強い“レジリエンス住宅”を知っていますか?

レジリエンス住宅とは、災害に強い住宅のことで、ヤマサハウスでは創業75年来、災害や事故に遭遇しても住まいが家族を守ってくれる家づくりを追及してきました。

災害復旧の知見を積み重ねて、より強い家づくりへの努力を行ってきた活動が評価され2023年4月、「ジャパン・レジリエンス・アワード2023」を受賞※。

今回は災害に強い家づくりを推進する企画開発室 室長の郡山にヤマサハウスが作り上げてきたレジリエンス住宅のあゆみと展望をうかがいました。

※次世代に向けたレジリエンス社会構築へ向けて、強靭な国づくりや地域づくり、人づくり、産業づくりに資する活動、技術開発、製品開発等に取り組んでいる先進的な企業・団体を評価し表彰する制度。

この記事に登場する人

郡山 憲司 こおりやま けんじ 企画開発室 室長

鹿児島大学工学部建築学科卒業後、2002年入社。設計や施工技術マニュアル作成などを経て、企画開発部に。家の性能向上の研究開発を主に担当する。入社以来、ヤマサハウスの住宅をアップデートしつづけてきた家づくり大好き人間。

思いもよらない災害が起こった時、即対応できるように

―ヤマサハウスが鹿児島県での家づくりにこだわるのは、災害時の対応を最優先で考えているからというのは本当ですか?

県内での家づくりにこだわるのは、災害が発生した時に我々の手でオーナー様宅のサポートをしっかりと行うことを第一に考えているからです。災害発生の翌日、お客様から次々と電話が入ると、電話に対応してメモ書きする人、それを引き継いでどの順番で対応すべきか検討する人、現場に向かう人といった具合に、社員全員で即対応するのは習慣になっています。

これまでの災害から学び、改良を重ねて

―お客様が不安な状況だからこそスタッフが一丸となって即対応するのですね。災害対応を重視するようになった経緯には、何か大きな災害の経験などがあったのでしょうか?

そうですね、私は入社する前の話ですが、1993年に鹿児島を襲った台風13号は、災害に強い家づくりへの転機になったと聞いています。戦後最大級と表現され、鹿児島県では死者33人、負傷者175人、住家被害は全壊226棟・半壊706棟・一部破損31899棟など※の大きな被害が出た台風です。当時、被害で目立ったのは、瓦の飛散でした。元来瓦は、重ねるだけのもので、強化する場合も一部を釘止めする程度でした。ですがヤマサハウスでは、全ての瓦をビスで固定し、吹上げを防止する軒先クリップの使用をルール化することにしました。その結果、台風による被害は大幅に減少しました。

(※内閣府災害対応資料集「199303:1993年(平成5年) 台風13号」より)

―被害の教訓を活かして、屋根施工の技術開発を進めたのですね。他県での災害事例も教訓として技術の向上に生かされているそうですね。

はい。1998年の阪神淡路大震災では、1階と2階とを繋ぐ〝通し柱〞が折れ、1階が潰れた家が多く見られたそうです。こちらも私は入社前の話ですが、先輩方は視察で得た学びをもとに、通し柱の造りを見直し。縦の通し柱と横の木材を繋ぐ際に大きな欠損を無くして強度を上げることにしました。

ほかにも、壁が強くても床が弱いと力をうまく伝えきれず、家がねじれる現象も目の当たりにしました。昔の家づくりは、根太(ねだ)を並べてその上に床を張る工法で、その根太のずれが床の弱さにつながります。そこで根太を無くす方法に変更。さらに、床下に28㎜ という厚い下地を使い、床を強化しています。

―地震での被害といえば、2016年の熊本での大地震も記憶に新しいですよね。

熊本は比較的、地震が起きにくい地域だと考えられていました。それは鹿児島も同じで、建築基準が厳しくない地域なんです。だから余計に衝撃でしたね。この時はわたしも視察しましたが、益城町では1階が潰れ、2階建てがほぼなくなっていました。

その後、強度ルールを見直すことになりましたが、強度を増すと、空間を広く取れないなど自由度が下がります。様々なシミュレーションでバランスを探り、現在では、国が定めた基準値の最高ランク・耐震等級3の1.25倍を自社の標準仕様としています。

安心な家づくりの追及は終わらない

―台風にも地震にも強い住宅へと日々進化しているのですね。

はい。しかしそれで本当に大丈夫?という不安は残ります。そこでモデルハウスを解体する際は、ただ壊すのではなく台風や地震を経験した住宅でも、釘が抜けていないか?屋根や壁がおかしくなっていないか?など状態変化を確認しながら、検証しています。

また、長く安心して住み続けていただくために、保証期間を初期保証は30年。有償では最長60年まで保証するようにしたり、昨年からは地震時の建替保証も始めました。

災害に強い家は高価と思われがちですが、地震保険や火災保険、修繕費や光熱費が抑えられるので、長い目で見るとお得だと思いますよ。

2023年4月10日に、東京で開催された「ジャパン・レジリエンス・アワード2023」の授賞式の様子。

―全国各地で毎年のように大きな自然災害が起こる昨今、レジリエンス住宅への取り組みはより重要になりそうです。

そうですね。災害に強い家づくりは、今社会問題になっている、空き家減少にも寄与できるはずと個人的には考えています。これからも、現在だけでなく、将来の暮らしやすさも見据えた家づくりに取り組んでいきたいと思います。

―ありがとうございました。

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