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地域業界の幸せ

自社の枠を超えた「木育」への取り組み

「木育(もくいく)」という言葉をご存じですか?

すっかりおなじみになった「食育」に始まり「住育」、「読育」、「色育」など大切だけど、意識しなければ学べない事柄に「〇育」という言葉が使われるようになりました。

「木育」とは、木材や木製品との触れ合いを通じて木の良さや利用の意義を学ぶ教育活動のことで、地元木材の活用を進めてきたヤマサハウスはこの精神に共鳴。自社の枠を超えて、同じ思いを持つ仲間たちと手をとり、2022年から「かごしま木育キャラバン」を開催しています。

イベント実行委員会の委員長を務める常務取締役の佐々木と実行委員会事務局の内田に、イベントの内容とそこに込めた想いについて話を聞きました。

この記事に登場する人

佐々木 政典(ささき まさのり)常務取締役

東京の経営コンサルティング会社で企業再生支援業務に従事した後、2010年に創業家3代目として入社。アフターメンテナンス部門、新築営業部門などを経て、工場大型投資、グループ組織再編など全社的な企画を担当している。

内田 良太(うちだ りょうた)経営企画部マーケティング・ブランディング統括課

家業の工務店や設計事務所で大工仕事や設計サポートを経験。老舗写真館でフォトグラファーとして写真や映像撮影の仕事に従事した後、2021年に入社。広報・広告・マーケティングなどを担当している。


木のおもちゃを通して国産材のファンを増やしたい

―「かごしま木育キャラバン」ってどんなイベントですか?

内田:「木のある暮らしを明日につなごう」をテーマに、2022年から毎年開催している親子イベントで、子どもたちに、体験型のイベントを通じて木の良さや木のある暮らしを身近に感じてもらうきっかけ作りの取り組みです。東京おもちゃ美術館などから木のおもちゃを借り受ける「移動式おもちゃ美術館」と、鹿児島独自の木工ワークショップなどを行っています。子どもたちが木のおもちゃで遊ぶことで国産材のファンとなり、さらには、森や樹々など自然に想いを馳せる人が増えることを目指して開催しており、今年の秋で第3回を迎えます。

―どのような経緯でイベントを開催することになったのですか?

佐々木:ヤマサハウスでは、もともと自社のオーナー様を対象に木工教室を行っていました。良い取り組みではありましたが、大工さんやタイル屋さんなど社外を巻き込んで、もっと多くのご家族が参加できる形に発展できればとも考えていました。そんな中、東京おもちゃ美術館の国産木のおもちゃを借り受ける「木育キャラバン」という取り組みを知って、木のおもちゃを核に据えることで、木工教室を発展させたイベントができそうだと考えました。

―それで、「木育」をテーマにしたイベントに発展させようということになったのですね!

佐々木:そうです。早速、鹿児島大学教育学部の寺床勝也教授をはじめ、建築や林業の先生方に相談を持ち掛けたところ、二つ返事で協力してもらえることになって。研究室の学生や、鹿児島県が認定する木育インストラクターの方々にも賛同をもらって「かごしま木育キャラバン実行委員会」が発足しました。2017年から構想を温めて、木のカメラや小物製作、コカリナ体験など9つのワークショップを絡めたイベントとして準備を進めました。

イベントを通して感じる木育への関心の高さ


―第1回は2020年に開催予定でしたが、コロナの流行で開催が棚上げになってしまったんですよね?

佐々木:はい。その後、感染対策を行い、まずはやってみようと県民交流センターの6階を借り切って挑戦したのが、2年経った2022年でした。まだ、知名度もない中でしたが、予約が1週間半で埋まってしまうほどの反響で、3〜8歳のお子さんがいるご家族を中心に、2日間で約1300人の来場がありました。

―1回目からたくさんのお客様に来ていただき、木育への関心の高さを感じますね。

内田:お客様の反応を目の前で見ることができて、木育の大切さを改めて実感できました。第2回はコロナも幾分下火になってきたため、人数枠やワークショップブースを増やすなどして開催したところ、2日間で入場者は約1800人でした。無料開催ですが、各企業から協賛や、約100名のボランティアの協力も得て開催することができました。

自社からは若手社員にスタッフとして参加してもらいました。「とても楽しかった」という声が出ると同時に、「木育」への意識も高まったという感想が多かったですね。お子さんと触れ合うことで、リアルな子どもの姿を学べたことも大きな経験で、今後の家づくりにおいてもお客様への提案が変わってくるのではないかなと思います。

木に関わる仕事の技術の素晴らしさ・面白さに出会う場に

―今年の開催はどのような予定になっていますか?

内田:第3回となる今年は、11月に西原商会アリーナ(鹿児島アリーナ)での開催を予定しています。広い会場を活かしたダイナミックな遊びができるおもちゃを取り入れるなど、木に関わる仕事の技術の素晴らしさや面白さにも出会えるものにしたいと考えています。

―今年も楽しみですね!今後はどのようにこのイベントを育てていきたいですか?

佐々木:現在は鹿児島市で年1回の開催ですが、今後は、複数回、鹿児島市外でも開催し、対象年齢を広げたいとも考えています。鹿児島では今、戦後植林した木の伐採時期に入っていて、適切な伐採を行わないとは山が荒れてしまいます。また近、木を使った家づくりは、壊すところまでを含めて環境に優しいという認識がされるようになってきました。なので、木を育てる、伐採、加工、暮らしに取り入れるといったサイクルの大切さを伝えていきたいと思っています。

そうすることでより多くの方に「木育」を体感してもらい、県内各地にいる※木育インストラクターのお力も借りながらこの輪を広げていきたいですね。

―ありがとうございました!今後もこのイベントを通してたくさんの方に木の良さを感じて欲しいと思います。

※木育インストラクターとは、
木のぬくもりなど、木の良さや利用の意義を伝えるため、木育に関する知識や技能を有し、自ら木育の企画立案を行い、木育を実践する指導者のこと。

「かごしま木育キャラバン」のInstagramはこちら。